スポーツのフィールドづくりも機能性とエコを考える時代
山を崩して良質な土を採取する時代から、
リサイクル原料から機能的な土を製造する時代へ
エコクレイ開発のきっかけ
エコクレイの開発は、環境問題により、競技用グラウンドを整備するための良質な天然土を採取できない事情から開始された。競技場の良し悪しは、いかに良質な天然土を確保できるかに左右され、現在は、国内で調達できず海外から輸入するケースも増加している。アスリートたちが活躍するフィールドづくりと環境問題は切り離すことができない重要な問題だということを知ってもらいたい。
グラウンドの品質維持は土次第
主役のアスリートたちを影で支えているグラウンドキーパー。良質な土を調達しても天然の土は粒の大きさや性質に違いがあるため、いかに良いコンディションを維持させるかがグラウンドキーパーの腕の見せ所。誰もいないグラウンドで日々手入れをしても、アスリートたちが熱戦を繰り広げた後や雨天時の整備には苦慮している。水はけが良くて、砂埃がたたない、さらに、怪我や故障を防止し、最高のプレーができるフィールドが用意できたら理想だが、天然の土相手では思うようにいかないのが現実だ。
環境に配慮したフィールドづくり
環境問題と土の調達が難しくなったことから、少しずつだがリサイクル原料を活用したフィールドづくりが始まっている。エコ技術の発展により、廃棄されていた素材が良質の原料として活用できる時代になっている。スポーツにおけるフィールドづくりも例外なくと言いたいところだが、残念ながらいまだに良質の天然土に頼っているのが現実だ。良いグラウンドづくりには良質の天然土という天然土神話が根強いことや、リサイクル由来の土の方がコスト高になる傾向も一つの要因だろう。しかし、スポーツとエコロジーも合わせて考える時代が到来しているに違いない。
エコ+αの価値づくり
いくらエコだと言ってもコストを無視する訳にはいかない。最近は企業の多くがエコに配慮するため、多少コスト高でもリサイクル製品を使用するケースは増えている。しかし、本当にエコのためだけに高いコストを掛けることは将来的に視点として良いことなのだろうか。コストに見合った価値がなければいつかは持続できなくなる時が来ると思う。エコ+αの価値がコストを上回るようなればそれは新たな価値創造になる。未来志向でエコを考えるといかにエコ以外の価値を作り出せるかが鍵になりそうだ。
スポーツフィールドの機能性を追及
スポーツフィールドに求められる新たな価値として機能性の追求が挙げられる。スケート場や陸上の走路など人工的なフィールドでは、記録を狙うためのフィールドづくりが始まっている。このように科学技術の推移を結集して特長のあるフィールドをつくることが、機能性の追及ということになる。天然土を使用したフィールドでは、採取した土の性質でフィールドの特性が決まっていた。そこで、リサイクル原料を活用して、天然土では実現できない機能性追及にチャレンジした企業が「東和スポーツ施設」だ。降雨後の水溜り対策や砂埃軽減を目的とした「排水性と保水性」を両立させたことが、機能性クレイ(土)の第一歩だったのかもしれない。
機能性を実現させた技術
「東和スポーツ施設」が機能性を持たせた土として「エコクレイ」を製品化した裏には、独自に開発した「粒度調整技術」と「配合設計技術」がある。性質が異なるリサイクル原料の粒度を変えることにより明確な特長を持たせることを実現。さまざまな特長を持つ、原料を目的に合わせて配合することで、「排水性と保水性」という相反する機能を合わせ持つ土が生まれた。その後、これらの技術の応用により、芝生が成長し易い土の製造やフィールドの固さや特性を自由に変えることに成功。専門の研究機関の試験においてもその機能性が証明されている。
「機能性+エコ」への挑戦
「東和スポーツ施設」は、エコ+αの次の取組みとして、「機能性+エコ」に挑戦する段階に入っている。機能性を持たせた「エコクレイ」という製品だけではなく、「エコクレイシステム」というシステム化し、多くの競技場やグラウンド、校庭などに活用されるよう設計業者や工事業者に対しても技術活用を推進している。
エコクレイは、旧国立競技場の芝生を移設し、保存・管理するプロジェクトでも活用しました。
旧国立競技場の芝生情報